ホームセンターで耐火レンガなどの部材を買って全て自分の手でDIYするのではなくて、石窯キットを買うメリットは何でしょうか?
・ドーム型など、素人DIYでは無理な場合にキットでないと作れない。
・作り方でしくじりそうになっても、尋ねる相手が居る。
・設計する手間が不要。
ということではないでしょうか。
一般的に左官工事と呼ばれる、モルタル作業の経験がある人はそれほど多くない上に、石窯を制作するのは初めての人がほとんどだと思います。そういう方にとっては石窯キット、あるいは施工付きの商品は「時間をお金で買う」メリットがあります。
耐火レンガやプレキャストのドームを組み上げるだけの(左官工事が必要ない)キットの場合と施工付きの商品の場合には、セメント類の「左官作業」が不要です。制作は楽です。
しかし、それ以外のキット商品は何だかんだ言っても左官仕事に始まり左官仕事に終わるという感じです。左官作業を自分の手で行うことは中々大変なのですが、いったん基礎の設置から石窯の外装タイル貼りまでを経験してしまうと、実は簡単な作業であることに気が付きます。単純に経験が無かったので難しく思えた、と感じるでしょう。
石窯キットには、
・性能は劣るが低価格であることを重視したもの
・ある程度の性能を発揮し、中価格であるもの
・高性能で、専用の型によって製造される高価格なもの(ドーム型など)
いろいろな観点でキットが組まれています。
インターネットなどで各社の商品説明を見ていると、ナポリピッツァやパンも焼けるように説明されていますが、実際には満足できる性能を備えていない粗悪品が多いと思います。本当の性能をよく推測してみる必要があると思います。
蓄熱材である耐火レンガのボリューム(使用量)から蓄熱性を推察したり、逆の観点・・つまり窯の外周の保温性能を推察することが必要です。窯の形状から炎の滞留や動きを想像することは重要です。基本的に高性能な石窯のセオリー通りにデザインされているかという点をチェックしてみてください。
そのセオリーとは、当サイトの「石窯のカタチ1」、「石窯のカタチ2」のページを読むことで理解することができます。
もし可能であれば、販売店で石窯を実際に運転してみることをおすすめします。どんな石窯でも良いと思います。料理をしなくても、薪に火を付けて、石窯の中でどのように炎が振舞って、どのような燃え方をするのかを観察してみると、石窯を見る目が備わります。
ずっと使える石窯を・・
石窯は一旦設置すると、長年つきあうことになります。
よく検討を重ねて、妥協をしないで石窯を選んでください。
ひとつの「規定演技」として、ピザ焼き性能を見ることにしましょう。購入を検討している石窯の画像で、もしピザを焼いているものがあれば、生地の焼け方をよ~く観察してみてください。ナポリピッツァ店と同じ焼け方ができているのか、じっくり観察をしてみてください。ドーム型やそれに近い耐火レンガを組んだ石窯の場合は、内部の天井が高くなって700度近い高温層がありますから、ピザピールでリフトアップしてやることで焦げ目をつけるなどの調整ができます。天井と排気部分が同じ高さの石窯ではリフトアップで焼き色を付けることができません。
表面がちょっと焦げて指で押すとパリッと割れる位、内部は水分が残ってモチッ、これが「カリ・モチ」で薪の香りがするナポリピッツァです。強火で焼き上げたことを示す斑点状のコゲ目「ダルメシアンスポット」ができる石窯でないとダメですよ。