石窯の基本

石窯って何だろう?

「石窯」は、「薪窯(まきがま)」と呼ばれることもあります。石やレンガで炉を作り、内部で火をおこして調理ができるようにしたものです。石で作られても、ブロックで作られても、耐火セメントで作られても、陶土で作られても、粘土で作られても、みんな、「石窯」と呼びます。

日本では、ナポリピッツアの店で美しい石窯を見ることが多いでしょう、ヨーロッパでは一般家庭でも小型石窯が人気があります。庭などに設置をして、ゆっくりと食事を楽しむケースが多いようです。

石窯は、サイズにもよりますが、大変に重い物です。一度設置(建築)すると数十年の間使うことができるものです。性能の低い窯は、長年のうちにアラが見えてくるものです。長く使う物だけに石窯選定は重要です。ぜひ良い窯を選んでください。

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石窯料理が美味しい訳

石窯で調理する場合、薪を焚いてしっかりと石窯の温度を上げてから使います。窯内部の蓄熱された石材は長波長の電磁波として食材内部を発振させるので、食材内部を温めることができるのです。これがおいしさの秘密です。

石窯でしか調理ができない料理のひとつがピッツァです。
本格的ピッツァを焼くためには400度以上の高温を必要とします。一般家庭にあるオーブンに比べて格段に高い温度です。石窯なら高温調理が可能です。外側は高温でパリッと焼いて、内側は遠赤外線でモチっと焼く、これが石窯の力です。

その他、シュラスコやタンドーリチキンなどの各国の石窯料理をつくることができます。長時間の煮込み料理も得意です。美味しいパンを焼くのが、実は石窯の本当の実力でもあります。

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石窯ってどうやって使う?

まず窯の中で薪を燃やします。雨の日など石窯が濡れている場合などは熱が水分蒸発のために吸収されてしまいますから、時間がかかります。数時間必要な場合もあります。窯が乾燥した後は温度が次第に上がって、その熱は窯に蓄積されます。そして窯本体が熱を放射し始めます。

「石窯が充分に蓄熱されれば薪を掻き出して窯の余熱で調理する」、と一般的な解説書には書かれていますが、小型の石窯の場合、そううまくはいきません。急激に放熱してゆき、窯が冷めてしまいます。最高の温度が必要なピッツァの場合は熱源である薪が燃えているままで調理するのが現実的な使い方です。

一般的に、耐火レンガ1層だけで構成されている簡易な石窯では、蓄熱容量が小さく放熱が早いために炉内の熱源を取り出してしまうと、レンガの輻射熱で調理できるのは短時間だけだと考えた方が良いでしょう。

ある程度大型で充分に蓄熱性のある、つまり熱容量が大きい石窯であれば温度の低下は緩やかなので、セオリー通りの使い方ができるでしょう。自分の石窯の温度変化のしかたが分かると料理の腕が上がっていきます。

高温時はピッツァ、少し下がってパン、それからミートや魚のロースト料理、という風に温度帯によっていろいろな料理を楽しむことができるようになれば、石窯を使いこなせたと言えるでしょう。これには経験を重ねることが必要です。